「ほらユース口にご飯粒ついている……」
「ん……」
俺はため息をつきながらユースの口元についた米粒を手で取った。
ユースはその間なされるがままじっとしていたが、俺が手を離した瞬間には彼の口には再び食事が運ばれていた。
次から次へと目の前にある料理を食べていくユース。

ほんと見た目と裏腹なやつだよな……
ユースは夜徒じゃなくなってからも相変わらず食欲は旺盛で、眠い眠い病だし。
今までの彼の行動はたんに飢えていたからじゃなくて元々の性質じゃないのかと思わず疑ってしまうほどである。
いや、というかもうユースの本能として組み込まれたのではないか。
俺は嘆息しながらぼんやりとユースを眺めた。銀髪の髪に水色の瞳。一見無表情そうに見えるが、最近は僅かな表情の変化に分かるようになってきた。ベナ曰くそんなの分かるのは俺ぐらいみたいだが、それはそれで嬉しかったりする。

「……………どうかしたか?」
「へ?」
「ルカがずっとこっちを見るから」
いつの間にかユースの顔を凝視していたらしい。ユースが不思議そうな顔をしてこっちを見ていた。
何でもないからと言って顔を反らそうとすると、ふと目の前についとポテトが差し出されていた
「…………あのユースさん?」
「食べたかったのか……?」
「いや、食べたくて見ていたわけじゃないから!!……というかご飯にポテトってどんな組み合わせだよ?!」
「別に腹に入れば一緒だ」
「………あぁはい…そうでした、ユースはそうでしたね。」

もう何も突っ込む気力は沸かない。これ以上言っても不毛な気がする。
俺はまたため息を小さくついて目の前にあるポテトを一つ摘んだ。
ユースがやっぱり欲しかったのかといわんばかりの目を向けてくる。
なんつーか……妙に負けた気分がするのは何故だろう。
無性に悔しい。


「よぉ、お前等。ちゃんと食べているか?」
俺がもう一度ポテトを食べようと手を伸ばしたとき、一際大きい声が聞こえてきた。
振り返らなくてもその人物は分かる。
「フォル………?!お前厨房はいいのかよ?」
「今客足が大分引いたとこでね、大丈夫だろ」
「なんつーかいい加減だな……」
俺は止めかけていた手を再び伸ばしポテトをつまむ。
ユースがまた何か言うかなと思って表情をそっと伺ってみたら、ユースは冷たい表情でフォルを睨んでいた。
「……フォルスラコス。何の用だ?」
「…っと……。もう大丈夫と分かっていてもやっば名前を呼ばれるのはいい気がしないね………もう何もする気ないからそう睨まないでくれよ大将」
やれやれとフォルは肩をすくめ手近な椅子を掴みとり豪快に座った。
「で、本当に何の用だよ?」
「やれやれ……ルカちゃんも冷たいなぁ………単にご機嫌伺いに来ただけだよ。どうしているかと思って」
「ユースは別に飯食っているだけろ」
「そうじゃなくて、『人間生活』をだよ……あぁもう、頭悪いなぁルカちゃんは」
「頭悪くて悪かったな!……あんたは相変わらずみたいだけどな」
「そうだなぁ……コックはやっぱ俺の生き甲斐ってやつ?」
にやりと笑ってフォルは腕をまくりあげて見せた。
意味が分かりません。

「で、本当に大将はこれからどうするんだ?」
フォルが珍しく真面目な表情でユースを見た。ユースは数秒考えあぐねる様黙っていたが、俺の方を向いて口を開いた。
「………ルカとチェルニアを見て回る約束をした」
「……………は?」
「あー……。旅だよ、旅。……二人でいろんなとこ見てもらおうって話をしたんだよ」
「旅って…大将と一緒にか?そりゃまたなんで」
「いや……まだ確定した話じゃないけどさ、こいついろんな常識とか抜けているじゃん?それでまずたくさん経験させた方がいいしさ、俺も昔のこと覚えてないから見てみたい景色とかあるんだ」
妙に恥ずかしくなり早口で少しそっけないような言い方になる。
あの約束が叶った後、ユースから聞いたチェルニアの話。別に昔の記憶を思い出そうとかいう気はさらさらなかったけど、ユースと色んな場所を見て周りたいと思った。
旅っていってもそんな長いわけじゃないし、卒業後の仕事とかはまだユースと俺もお互い全然決まってなかったけど、またそれはそん時考えればいいかなと。

「ふーん。ほぉー…へぇー…二人でねぇ」
ぼんやりと思考を打ち切り、前を見るとにやにやとフォルが嫌な笑みを浮かべていた。



「なんだよフォル」
「いーや若いっていいなぁと思って」
「………あんたこれから老いていく一方だもんなぁ」
「ルカちゃん潰されたい?」
「いやぁ……冗談だってば」
どこをだよ。今まじで目が本気だったぞ?!
この話題はタブーだと思った時、授業前の予鈴が遠くから聞こえてきた。
「あ、やべ……次ジェシー先生の授業だ……早くいかないと殺され……いや実験体にされる!!」
あの人ならリアルにしかねない。
寒気が背中を通り、慌てて俺は席を立ち近くにあった鞄を掴みとった。
「ほんとあいつもすっかり教師が板についているよなぁ……」
「あんたもだろ。あれ……そういえばミンミは?」
「厨房の奥でアイス食べているぞ」
「はは……あいつも相変わらずだよな」
「ルカ。行くぞ」
「あぁ分かった……じゃあなフォル。ミンミにも宜しく言っといてくれ」
「あいよ」




「ルカ………」
「ん、何だ?」
二人で次の教室まで走っているとき、ユースが遠慮がちに口を開いた。
「ルカは旅のこと嫌か?」
「へ?何でだよ?」
「先程言いにくそうにしていただろ…」
ちらりと横顔を見る。本人はいたって表情を浮かべてはいないつもりだろうが言いたいことが分かってしまった。
思わず口元に笑みが浮かび上がってくる。
「単に恥ずかしかっただけだよ……嫌なわけないだろ?」
「そうか………」
ユースは安堵したように呟くと、静かに笑みを浮かべていた。
「………っ…」
「ルカ?」
「な、なんでもない……」



ユースの表情の変化が分かるようになったとはいってもそれはほんの僅かなもので…

急に笑顔を見せるなんて……反則だろ


俺は赤くなった顔を見せないように走るスピードをあげた



これからもっとユースは感情を表すようになるのだろうか
そうなるといい

きっと色々なものを見て回って、話していってたくさんの可能性が待っているんだ


「ユース!………楽しみだな」
「あぁ……楽しみだ」





††




久しぶり小説を書いてみたらなんという文\(^o^)/
絵日記に一部貼ってたけどこれは酷い……


要は皆が今度どうするのかなぁと思って携帯でぼちぼち打った。

ジェシーとフォルは相変わらずだろうし、ルカはディプル先生みたいに歴史の先生になったりしないかと思っている。 ディプル先生も昔は歴史嫌いとか言っていたから、何となく伏線?とか考えたけど…(考えすぎ?)
ユースは頭良いし知識もあるから何でも出来そう。それでもルカの傍を離れないだろうからやっぱり教師?

ミンミが一番予想不可能
どうしよう……食べているイメージしかない笑

フォルが頑張って厨房の手伝いさせるとか?
………まぁソニエラは多分夜徒に対して融資をしてくれると思うから、生きてはいけると思うよ。笑


あとこの話はユスルカのはずなのにフォルとルカの絵(…)
その内描けたらいいな。